FInTechの発達は新たな金融サービスを生み出しました。その中で最も革命的なサービスの一つにソーシャルレンディングがあります。マーケットプレイスレンディングともよばれています。銀行の代わりに個人が事業融資を受けたい人にお金を貸すというものです。

ソーシャルレンディングが最初に登場したのは2007年、アメリカのレンディングクラブ(Lending Club)です。2014年12月にはソーシャルレンディング企業として初めて上場し、時価総額1兆円をつけました。

レンディングクラブの事業形態は、まず、融資を受けたい人がweb上でローンの申し込みをします。レンディングクラブが入力された年齢、職業、年収などをもとに審査を行い、融資可能額と金利を提示します(ここまでは駆り審査金利は後で変わる可能性もある)。レンディングクラブは借手をA~Gランクにわけ、(金利のはっきりした数字はここで決められる)証券化し、投資家に販売するのです。投資家から集まった金額が借手の希望額に達した時点で融資業務本体を事業提携している銀行に移し、実際の融資は銀行が行います。

レンディングクラブの役割は、借り手と貸し手を結びつける仲介役です。レンディングクラブは借り手から手数料として1~6%を返済時に徴収し、投資家からは元利金受取額の1
の手数料を受け取ります。

借り手、投資家、レンディングクラブそれぞれの立場からのメリットは以下のようになります。

借り手…金利が従来の銀行やクレジットカードのローンに比べ低い。
投資家…他の金融商品に比べ、利回りが高い。貸し倒れリスクもあるが、リターンが他の商品にくらべはるかに大きい。
レンディングクラブ…ローンの貸付自体は銀行がおこなうため、金融規制を受けず柔軟な対応ができる。貸し倒れによる信用リスクを負わないため、資本準備金が不要で事業にかかるコストが低く抑えられる。

こうしたソーシャルレンディングが台頭してきた背景には、魅力的な金融商品がなかなか見つからないこと、融資を受けたい中小企業や個人、とくにミレニアル世代は店舗で対面するよりもインターネット上での取引を好むこと、ビッグデータの活用により、今までよりも精度の高い審査ができるようになったことがあります。

ただ、ソーシャルレンディングも最近は乱立ぎみになり、投資したはいいけれどインターネットを覗いてみたらwebがなくなってた!ということも珍しくなくなってきているようです。また、貸し手も借り手も匿名性が高いので、犯罪に利用される可能性があり(実際、レンディングクラブからの融資ではないが、調達した資金で銃を購入し、10名以上を殺害する事件が起こっている)、その場合は責任の所在が曖昧になります。最近では業界の自主規制も進んできています。

FInTechブームの追い風にのって利益をあげてきたソーシャルレンディングですが、最近では業績にかげりも見え始めています。レンディングクラブでは投資家に無断で審査基準を引き下げ借り手に無理な融資をしたことが発覚し、幹部が辞職するというスキャンダルがおきています。この先ソーシャルレンディングがどのように発展していくかはまだ不透明な状況です。