「google、facebookが今後、われわれのライバルになる」これはアメリカの大手金融企業、JPモルガンのCEOが言ったことです。金融業はいまや金融業者だけの寡占事業ではなくなってきています。AIやビッグデータなどの最先端のテクノロジーと、洗練されたデザインのスマホやタブレッットで「早い・安い」サービスを消費者に提供するベンチャー企業やSNSが金融業に続々と参戦してきています。

異業種が参入してくると金融はどう変わってくるのか?ほとんどが海外の例ですが、具体的に見てみましょう。

・銀行
店舗を持たない『デジタルバンク』が台頭してきている。スマホ一つですべての手続きが完了できる。支出予定額を入力しておくと、買い物などで店に入るとき使用可能な金額(口座の総額ではない)を提示してくれたり、主力を定期預金だけにしぼり、金利を他の銀行より高くするなど、個人の消費行動に特化したものが多い。海外の銀行では口座がマイナスになると罰金のようなものを取られることが少なくないため、このようなサービスが喜ばれる。

・証券会社
こちらもスマホ一つですべての手続きが可能なモバイル専門証券会社が登場している。店舗がないばかりでなく、ネット証券のようにITシステムの構築・メンテナンスにお金をかけなくて済むため、手数料の無料化を可能にした。
日本でも2016年6月に国内初のスマートフォン専業証券会社『ワン・タッブ・バイ』が営業を始めている。口座開設の登録もすべてスマホで完結できる。

・保険
自動車保険…走行距離や個人の運転技術に合わせて保険料が変動するものが登場
生命保険…ウェアラブル端末や家の中に取り付けたセンサーで個人のデータをとり、保険料がきめられる保険が登場している。
また、友人同士でインターネット上でグループを作り保険金を出し合うタイプの保険もある。供出した保険料は半分はグループの代表が管理し、半分は外部の保険会社に支払われる。メンバーから保険請求があった場合、小額のものはプールした保険金から支払い、プールした金額を超えるような場合は外部の保険会社が支払う。1年外部の保険会社に支払い請求がなければ、年末に保険会社にかけた金額の一部(最大50%)がもどってくる。
外部保険会社に支払った金額が保険会社が事前に決めておいた額を超えたら、その超過分を保険会社が支払う。

こうしてみると、従来の金融業者にはできない決め細やかなサービスを売りにしているものが多いことがわかります。まさにかゆいところに手が届く!といったかんじですね。

特に最後の生命保険は、人数を集めれば集めるほどキャッシュバックされる金額が大きくなるのですから、張り切って人を集めたくなりそうです。保険会社もグループが大きくなればなるほど入ってくる保険料も多くなりますし、お客が自主的にお客をあつめてくれるわけですから、膨大な広告費や人件費を省くことができます。

事故を起こしたらグループ全体に迷惑がかかると思えば、安全運転をせざるをえません。業者側にもお客がわにもメリットのあるwin-winな業態です。FinTechは業者、ユーザー双方にメリットがなければ大きな発展はのぞめないのですね。