ビットコイン誕生のきっかけは、2008年にweb上で発表された一本の論文から始まります。論文の執筆者はSatosshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)。タイトルは『Bitcoin:A Peer-to-Peer Electroncs Cash System』となっています。

Peer-to-Peer(ピアツーピア、P2Pと表記されることが多い)とは、対等な者同士という意味です。中央をサーバーで管理せずに個人と個人でやりとりができる通信技術で、スカイプもこの技術を使っています。この技術を使って電子上の金銭の取引を可能にしたのがビットコインです。

では、ビットコインの生みの親は日本人!?実は、誰が発明したのかは今でもはっきりわかっていないのです。自分こそがビットコインを発明したサトシ・ナカモトだと多くの人が名乗りをあげましたが、その誰からもビットコインと直接関係する証拠を得ることはできませんでした。

あるとき、この人物こそサトシ・ナカモトでは?と大きくとりあげられた人物がいました。Dorian・S・Nakamotという日系アメリカ人の男性です。1959年に家族とともにカルフォルニアに移住し、大学を卒業したあと名前をナカモトサトシからDorian・S・Nakamotに改名したのだそうです。

大学卒業後は航空会社の技術者として働いたり、軍関連の仕事をしていたようです。税金の滞納で自宅を差し押さえられた経験があり、政府や銀行に対して不信感を抱いていたという証言もあります。Newsweekの記者が接触を試みたところ取材を激しく拒否。警察が駆けつける騒ぎとなりました。

その後、ビットコインに携わったことを認めはしましたが、もう今は完全に自分の手を離れているので関わらないでほしいという趣旨のことを警察官を通じて伝えました。しかし、スクープをモノにしようとするマスコミが殺到し、これに耐え切れなくなったナカモト氏がとうとう愛車で逃亡。その後をマスコミが追いかけ、街中で派手なカーチェイスを繰り広げる騒動にまで発展したのです。その後、ナカモト氏はビットコインとの関係を完全拒否。Newsweekに対して訴訟を起こしています。

ナカモト氏の騒動から2年ほどたったある日、『自分こそがビットコイン発明者』と名乗り出た人物が現れました。オーストラリア人の企業家、クレイグ・ライト氏です。実際、ビットコイン発明者でなければ知りえない情報をもっており、Bitcoin財団の主要人物もライト氏が発明者で間違いないという趣旨のコメントを出しています。

しかし、テレビのインタビューに答えるライト氏は始終硬い表情を崩しません。インタビューの内容によると、自らの意思で公表したわけではなく、どうしても公表せざるを得ない状況に追い込まれてのことだったようです。オーストラリア当局から税金に冠する調査を受けているとも語っています。取材に応じるのはこれ一回きりで、今後は一切取材を受ける意思はないことも表明しています。

しかしその一方で、ライト氏がビットコインを発明したという証拠にまだ疑わしい点もあるという声もあります。この人もニセモノなのでしょうか?結局ビットコイン発明者が本当は誰なのかは、謎のままです。サトシ・ナカモトが実在の人物であるかどうかも疑わしい状況なのです。いつか真相がわかる日がくるのでしょうか?