FinTechが発達した原因の一つに2008年のリーマンショックがあります。それまでのアメリカの金融業の規制はかなりゆるく、一部の金融機関が連邦準備制度の監視を受けているだけでした。しかしリーマンショック以降はすべての金融機関が厳しい監視の下に置かれるようになりました。

しかし監視が厳しくなったぶん、金融機関も一般への貸付の審査基準を引き上げたため、所得が低く、本当に融資が必要な借りられない人がという人が増えてしまいました。そこへ登場したのがソーシャルレンディングのような従来の法規制の枠にはまることのない新しい金融サービスです。FinTechは既存の金融サービスをうけることの出来ない、所得の少ない人や大学を卒業しても定職に付くことができない若者などのの声をうけて発展してきた側面があります。

FinTechの発達で、今までにない革新的なサービスが続々と登場してきています。それは喜ばしいことではあるのですが、FinTechはここ数年で急激に伸びてきた新しい産業である分、何か不祥事が明るみに出ても対応に苦慮するケースも出てきています。アメリカのある金融機関はFinTechの法規制に関してこんな問題点をあげています。

・FinTechを監督する機関がはっきりせず、どの機関の法規制に従えばいいのかわからない
・各監督機関の基準がバラバラでどれに従えばいいのかわからない
・多くの法規制がIt産業以前に制定されたものであり、FInTech産業に適合しない
・ほとんどがベンチャー企業であるため、エンジニアなど技術者を含む数人で対処する必要がある

法律がFinTech産業においついていないということですね。無法地帯とまでは言わないまでも、何か問題が起こったとき、どんな対応をとればいいのか政府もよくわかっていないのです。しかし、某ソーシャルレンディング企業が金融業の許可をとっていないことを理由に9カ月の休業を余儀なくされたという例もあります。

また、ベンチャー企業の宿命ではありますが、競争が非常にはげしく、生き残れる企業はごくわずかというのも事実です。インターネット上にしか存在しない会社もたくさんあります。出資したのに、ある日会社がインターネットから消えていた!というのもよくある話なのです。

ここまではアメリカの話ですが、日本ではどうでしょうか?アメリカのFinTechは一般の人々の従来の金融業に対する不満と、それにともなう新しいサービスの需要をうけて伸びてきました。しかし、日本はどちらかというと金融庁が旗振り役となってFInTechを推進しています。日本とアメリカをは文化も考え方も違うので簡単に比べることはできませんが、日本はまだまだ現金第一主義、預金神話が生きています。事業融資はともかく、借金に対するマイナスイメージもぬぐえません。

言いかえると日本人のはお金に対する感性がまだまだ未発達であるともいえるのです。日本での一番の問題はこの点かもしれません。今後、どんなFInTechが登場してくるのか想像もつきせんが、金融庁主導のままFInTechを受けいれてくと、何かとんでもないことに巻き込まれる可能性もあります。お金を第三者に預けっぱなしにするのではなく、どう使うか、どうやって管理するかなど、お金のことを自分自身の問題として捉えられないと、いたずらに情報や技術にふりまわされるだけになります。