インターネットの恩恵を受けているのは金融だけではありません。IoTという言葉を聞いたことがあるでしょうか?Internet of Thingの略で、『モノのインターネット』という意味です。訳したところでますます意味がわからない!と思いますか?

モノはわたしたちの生活に関わるすべての物をさします。家電、車、最近ではウェアラブル端末、将来的には人口知能を搭載したロボットもこの中に加わるかもしれません。とにかくありとあらゆる物がいずれはインターネットと繋がると考えられています。たとえば、スマホを使って家の外からエアコンをつけて帰るまでに部屋の中を適温にしておくということはすでにできるようになっています。

ガスコンロをつけっぱなしにしても外から消すことが可能になるのです。火事の心配を減らすことができます。冷蔵庫の在庫を管理することもできます。在庫を切らせたくないものを登録してインターネットとつないでおけば、冷蔵庫が判断してECサイトで自動的に注文してくれるのです。

家電ばかりでなく、家丸ごとをインターネットでつないで24時間人口知能が監視し、火災などの災害から家を守れるようになるかもしれません。また、車も自動運転の技術がすすみ、実用化は時間の問題です。

こうなると、火災や事故がいままでにくらべてかなり減ってくることが予想されます。そうなると、従来のような火災保険や自動車保険は要らなくなってきます。では保険会社はなくなってしまうのでしょうか?そうとも言い切れません。FinTechが発達すれば、今までとは違う形の保険が提供できるかもしれません。たとえば車で高速道路に乗っているときだけ入れる定額の車保険というものが可能になります。

じつはこれに近い保険はアメリカですでに実用化されているのです。この保険会社の主力商品はスマートフォンやデジタルカメラなどのデジタル機器を対象にした小額の保険を販売しています。保険というのはたいてい年単位で入るものですが、この保険はスマホからいつでもオン/オフが可能なのです。つまりは、長期の旅行など、破損の可能性が高いときだけオンにして、使わずに家においてあるときはオフにすることができるのです。

このような保険を『マイクロ保険』といいます。将来はデジタル機器だけでなく、あらゆるものにかけられるようになる可能性があります。このように、個人の消費行動に寄り添った保険や金融商品をFinTechは可能にできるのです。

FinTechの特長の一つに、金融商品の細分化・小額化・短期化することができるということがあります。年単位の大きな保険はやがて消えていくかもしれませんが、かわりに今まで思いもよらなかったものにかけることのできる小額・短期の保険が日本でもどんどん登場するかもしれないのです。

保険だけでなく、公共料金の支払いなどもその人の生活に合わせた、かゆいところに手がとどくような新しいサービスが出てくるかもしれません。日本ではまだ現実味がないかもしれませんが、こうしたマイクロフィンテックは確実に需要度を増してきています。