インターネット以来のインパクト!ビットコイン

『1957年コンピューター、1933年インターネット、2014年ビットコイン』ビットコインについて語るとき、かならずこの言葉がついてまわります。これは、有名なベンチャーキャピタリスト、マーク・アンドリーセンがビットコインのインパクトについて述べたものです。アンドリーセン氏は、フェイスブックやツイッターに初期段階から出資したことでも知られています。

ビットコインは仮想通貨といわれることも多いようですが、実は仮想通貨はすでに世界中で100種類以上が流通しています。最初、ビットコインはそのうちの1つにすぎなかったのですが、いまや世界一有名な仮想通貨となりました。稀代の投資家をうならせ、100種類以上ある仮想通貨のトップに躍り出たビットコインですが、何がそんなにすごいのでしょうか?

まず、従来の通貨との一番の違いは発行者・管理者がいないということです。普通の通貨なら銀行が発行や流通の調整をするのですが、ビットコインにそうした役割をする機関は存在しません。

ビットコインはP2P(Peer-to-Peerの略)と呼ばれる分散型ネットワークで管理されます。Peer-to-Peerとは、対等な者同士という意味です。普通インターネットを使用するには、検索やメールサービスを提供してくれる企業の『サーバ』に接続しなければなりません。例えば、YahooのHPにアクセスするということは、Yahooのサーバに接続され、そこから様々な情報やサービスの提供を受けていることになるのです。

しかし、インターネットはいまや世界中で利用されており何万、何億人の人がサーバにアクセスすることで、なかなか繋がらなかったり動きが重くなったりすることがあります。P2Pはこのサーバを介さず、直接コンピュータとコンピュータを繋ぐことができる画期的なシステムです。このシステムはサトシ・ナカモトという人物が発表したとされる論文が元になっています。

ビットコインは、この対等な関係のネットワーク上で管理されています。このネットワークに参加するには、専用ソフトウェアをインストールする必要があります。インストールが終わると、ビットコインの取引データすべてをネットワークに参加している人で共有することになります。

この取引記録をブロックといい、それがチェーンのように次々と新しい取引記録が繋がっていくことから、この技術を『ブロックチェーン』といいます。この取引記録はネットワークに参加している人すべてが共有しているので、不正をするのが難しくなります。不正にビットコインを入手しようとして一つのブロックを書き換えても他の膨大な量のブロックと合わなくなるので、すぐにばれてしまうのです。

しかも新たな取引をする場合は新しくブロックを作る必要があります。しかし、このブロックを作るには難解かつ膨大な計算を解いて、とある条件をみたす数値(ノンス)を導き出す必要があるのです。ノンスを見つけて新しいブロックを作ってくれた人に、膨大な計算と労力のお礼として新しいビットコインが付与されるのです。この作業はマイニングと呼ばれています。

じつはビットコインの人気は、不正をしずらいブロックチェーンの技術が注目を集めているという側面もあるのです。

FinTechが提供する新しい形のサービス

日本ではいまのところ、海外ほどのFInTechブームは来ていませんが、巻き込まれるのは時間の問題です。海外ではFInThec関連企業が次々生まれているのはなぜでしょうか?多きな理由の一つには、今まで金融関連会社の専業だと思われていた事業が、技術の発達により他分野の業界も入り込みやすくなったということでしょう。

優れた技術を持っていれば、個人でも事業を立ち上げてサービスを提供することが可能になったのです。FinTechもそうですが、現代はあらゆるものがデジタル化しています。お金は現金も流通してはいますが、カード一枚で決済ができる電子マネーが飛躍的に増えました。Suicaやpasmoなどのはそのいい例です。また、情報はインターネットの発達で世界中で瞬時に共有できるようになりました。

出会いもSNSの発達でインターネット上でつながる機会が増えました。フェイスブックやツイッターに書き込みすれば、数秒もしないうちに不特定多数の人からリアクションが返ってきます。そして顔も名前も知らない海外の人とオンラインゲームで対戦することもできます。ゲームの課金はインターネット上で完結できます。インターネット通販もインターネット上でカード決済が可能になりました。

人の生活様式や消費行動が、デジタル情報としてインターネット上で記録が残る用になったのです。これがサービスと消費者の関係に決定的な変化をもたらすことになりました。サービスを提供する人、サービスを受ける人の境界線があいまいになってきたのです。

アメリカ発の配車サービスuberを例に見てみましょう。日本でも数年前からサービスが開始されていますが六本木限定で、まだまだ認知度が低いですが海外では人気があります。このuberは専用のアプリをダウンロードして、来て欲しい場所と時間を指定します。料金もアプリで決済できます。じつは、このUberのドライバーは専属ドライバーではなく、Uberと契約を結んだ一般の人です。車も個人の私物なのです。(日本では専属のドライバーと車が用意されてるようですが)

つまり、仕事している以外の時間はドライバー自信もタクシーの利用者となることがあるのです。このように、サービスを提供する側と受ける側とのボーダーラインが崩れる例があらゆる分野のサービスでおこっているのです。これを「シェアリングエコノミー」といいます。

金融も例外ではありません。例えばこれまでは事業を始めるのには銀行で融資を受けることが一般的でしたが、借入れの条件がきびしく、断念する人も少なくありません。しかし、いまインターネット上では、融資を受けたい人とお金を貸して利益を得たい人とを結びつけるサービスが盛んになってきています。ソーシャルレンディングという仕組みで、やはりこれもアメリカが発祥です。日本ではクラウドソーシングという呼び方で浸透してきています。

このように、従来の銀行などの金融業のサービスからこぼれ落ちてしまった人でも、低利息でお金を借りることができたり金融業に縁のなかった人が金融サービスを提供する機会がでてくるようになったのです。

銀行が便利すぎる?日本でFinTechが盛り上がらない理由

こうしてみると、日本でもFInTechに関連する技術は海外に比べても引けをとりません。しかし、アメリカや他の国に比べるといまひとつ出遅れている印象があります。なぜでしょうか?

一つには、日本の金融の規制に原因があります。海外のFInTech企業の収益は、融資、決済、送金、投資がメインです。しかし、いまの日本ではこれらには厳しい規制がかかっており、新興企業はなかなか参入することができません。

もう一つには、日本人が金融企業に求めるサービスが海外と違っているということもあります。まず、日本の金融業、特に振り込みや引き出しなどの末端のサービスは非常に正確で緻密です。指定の日に振込みや引き落としがされていない、身に覚えのないお金が自分の口座に振り込まれていても銀行が対処してくれない、といったトラブルは海外ではめずらしくありません。

また、お金を借りる場合でも銀行のカードローンや消費者金融、クレジットカードのキャッシングなど、何らかの方法で借りることができます。しかし、移民の多い海外は融資を受けたくても受けられない人が大勢います。また、ATMもコンビニなどあらゆる場所に設置されていて、どの銀行のカードでも引き出すことができます。

こういった行き届いたサービスは日本以外の国にはほとんどありません。こういった高い利便性が逆にFInTechの普及を妨げている可能性があります。

また、資産に対する考え方が日本とアメリカやヨーロッパでは決定的にちがいます。日本人の金融資産の内訳を見てみると、現金・預金が51.8%、債券が1.4%、投資信託が5.5%、保険・年金が29.3%、株式などが9.7%です。資産の半分以上が現金に偏っていることがわかります。

これがアメリカだと現金は13.7%、株式、投資信託が50%近くを占めています。ヨーロッパでも現金は34%と半分以下です。日本でも投資会社のオンライン化などで以前よりは株や投資信託の保有率は上がってきているようですが、それでもまだ現金第一主義の人が多数を占めます。

他にも、資産の多くを保有しているのが高齢者であるというのも、FInTechが日本で普及しない原因のひとつです。60代、70代の金融資産の保有率は全体の60%以上を占めています。
FinTechのサービスの一つに投資アドバイスがありますが、預貯金を多く保有している高齢者が投資アドバイスに耳を傾けるとは思えません。

また、FInTechのほとんどはスマートフォンの利用を前提としています。日本の高齢者はこういった新しい技術を受け入れるられる人があまりいません。スマートフォンを利用することが多い若者は充分な資産を持っていないので、FInTechの提供する金融サービスを受けられる人は限られています。

若者に金融資産が少ないのは当然ですが、いまの若者世代は不景気の影響で給料のいい正社員の仕事につくことが出来ない人が大勢います。派遣や日雇いなど、不安定で収入の低い仕事にしかつけないので、投資にまわすほど充分な資産を作ることができない人が多いのです。

また、支払いも日本はカードやローンより現金一括払いがまだまだ主流です。SuicaやPasmoなど一部の決済手段を覗いてはFInTechの提供する決済サービスも普及しにくい環境といえます。日本ではアメリカ式のFinTechは通用しにくい環境といえます。

日本に入り込んでいるFinTechのかたち

アメリカほどのブームにはいたっていませんが、FinTechは日本にも確実に入り込んできています。FinTechが提供するサービスは、既存の金融が提供するものを使いやすくしたり、手数料を下げたりしてユーザーに提供するもの、法律などの規制で従来の金融機関ができなかったサービスを補間するもの、まったく新しい分野に進出しているものがあります。

既存の分野のリニューアルで、一番わかりやすいのは、決済分野ではないでしょうか。特にスマートフォンやタブレットの普及で、モバイル決済が急激に発達してきました。クレジットカード決済は手数料が高く、個人で運営している通販サイトなどはクレジットカードの導入になかなか踏み切ることが出来ませんでしたが、FInTtechが発達したことにより、カード決済の手数料を安く提供する企業が現れはじめました。

日本でのモバイル決済はコイニーや楽天スマートペイがよく知られています。こちらは通販などの支払いを受ける側に必要とされる技術ですが、支払いをする側、顧客側の利用する技術では、おサイフケータイがあります。独自の決済アプリを無料で提供する小売業の店も出てきています。最近では、iPhonの決済機能apple payでsuicaが使えるようになりました。

また、ビッグデータやAIを活用し、個人や法人に投資アドバイスをするサービスも始まっています。これは従来、ファイナンシャルアドバイザーといわれる人が個人や法人の資産状況を見て資産分配のアドバイスをしてきたのですが、ファイナンシャルアドバイザーを雇うにはお金がかかります。しかし、AIであれば、人件費などがかからない分安くできるので、いままで独自に投資をしてきた個人でも気軽にアドバイスをうけることが出来るようになるのです。日本では『お金のデザイン』や『WealthNabi』が知られてきています。大手銀行や証券会社でも導入しているところがあります。

FinThecは企業の会計の分野でも存在感を増してきています。たとえば、企業は必ず決算書を出さなくてはいけませんが、決算書は企業内の各部門が膨大な数字をまとめあげ、一つの書類にしなくてはいけませんが、人手も要るし、時間もとられます。数字が合わなくて最初からやり直し!という事態にもなりかねません。この厄介な作業を軽くしてくれるのが、クラウド会計ソフトです。クラウドは正確にはクラウドコンピューティングのことをさします。データをパソコンやCDRなどのハードウェアやソフトウェアに保存するのではなく、インターネット上に保存することです。

どこからでもアクセスが可能で、複数の人が同時にデータを閲覧、共有することができるのです。このソフトを使えば、会社内のあらゆる部門の人が同時進行で作業を進めることができるので、労力と時間を大幅に削減することができるのです。最近では企業だけでなく、個人の家計簿や確定申告に応用されているものもあります。

企業用では『Freee』や『スマイルワークス』の提供する会計ソフトがあります。個人用の家計では、ZAIMというアプリがマスコミでも話題になりました。レシートを自動読み込みしてくれたり、家計の状況をグラフ化してくれたりと今の自分の家計状況が可視化し、節約に繋げることができます。

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